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総合研究1~8(メメント・モリ!-21世紀の死生学)

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令和2年度以降入学者 総合研究1~8(メメント・モリ!-21世紀の死生学)
令和元年度以前入学者 総合研究1~8(メメント・モリ!-21世紀の死生学)
教員名 鈴木生郎
単位数    2 学年 1~4 開講区分 文理学部
科目群 総合教育科目
学期 前期 履修区分 選択
授業形態 対面授業(ハイフレックス型)
授業の形態 基本的には対面で行うが、事前に許可を受けた学生のみ遠隔での参加を認める(Zoom)。
Blackboard ID 20230112
授業概要 医学部と文理学部の双方の学生を対象とする特別授業。

「メメント・モリ」とは、死を忘れるなかれという意味のラテン語の言葉である。人は必ず死ぬ。死があるからこそ生もまた意味をもつ。死と生を考えることは、言葉をもち、時間の概念をもった人間の歴史においてつねに大きな課題であった。そのなかでも医学は死の到来を最大限引き延ばすことを目指して発達してきたが、ついに死を解消することはできていない。一方、人間は社会的動物であるだけに愛するものや家族・友人の死によって深い喪失感を味わう。その傷を癒やすべくさまざまな思想や表現、技術が生み出されてきた。あらためてこの授業を通して死と生をめぐる人間の知恵をふりかえってみよう。現代の最先端医療のなかで人間の生と死に向き合う医学の課題と、高齢化社会の到来や生命観の変容に向き合う人文科学・社会科学の課題を接続し、医学部と文理学部双方の学生にとっても知的な刺激と新たな思索へと導いていきたい。

複数の教員がオムニバス形式で登壇する。哲学、美学、社会学、社会福祉学、社会人類学、心理学、情報科学を専門とするそれぞれの教員1人が2回、授業を担当し、そのリレーのなかで講義とディスカッションを行う。
授業のねらい・到達目標 ・文理学部と医学部の違いを超えて文系・理系学問を複合した知の世界を体験し、人生や社会に密接した「教養」(考える力)を身につける(A-1-1、A-2-1、A-4-1)。
・領域横断的な「知」を学び、それぞれの関心に応じた視点を切り口にして、議論を組み立てることができるようにする(A-3-1、A-5-1)。
・グループ・ディスカッションに自主的かつ対話的に参加できるようにする(A-6-1、A-7-1)。
・論理的な思考と他者への想像力をもって、自分の言葉でレポートを作成できるようにする(A-8-1)。

この科目は文理学部のディプロマポリシーDP及びカリキュラムポリシーCPの1、2に対応しています。
授業の形式 講義、オムニバス
授業の方法 講義方式およびグループ・ディスカッションなどを組み合わせて行う。
登校できない事情があり事前に申請をした場合に、Zoomでの参加を認める。初回に担当教員の許可を取ること。
対⾯授業に参加できない場合は、まず①Zoom で参加し、Blackboard に配信する課題を提出するパターンと、②対⾯授業終了後にBlackboard に配信する動画を期⽇までに視聴し、課題を提出するパターンのどちらかになる。どちらになるかはつねにBlackboardで分かるようにするので、各自で確認すること。
フィードバック方法等については、授業内で指示する。
履修条件 CHIPSによる抽選を行う。
履修希望者が多い場合は、グループ・ディスカッションの欠かせない授業であるため、人数調整を行う。50人程度を限度とする。
授業計画
1 ガイダンス
Blackboardで事前に配布した資料を読みながら、これから何を学ぶかを説明します。あわせて死生学について思い浮かぶ課題や問題点をまずディスカッションして浮かび上がらせます(A-1-1)。
【事前学習】事前資料を読み,この講義で何を学びたいかを考えてくること。 (2時間)
【事後学習】説明内容と議論した内容をまとめ,今後の学びに備えて整理しておくこと。  (2時間)
【担当教員】鈴木生郎
【授業形態】対面授業、同時双方向型授業
2 死と人生の意味
人は死に直面にするとき、しばしば自分の人生にどんな意味があるのかという問いに悩みます。他方でそもそも「人生に意味がある」とはどういうことなのかはそれほどはっきりしません。この授業では、まずは現代の哲学において典型的な「人生の意味」の理解を紹介し、そこに含まれる課題を考えることで、人生の意味について考える手がかりとします。(A-1-1, A-3-1)
【事前学習】事前資料を読み、人生に意味があるとはどのようなことかについて考えること (2時間)
【事後学習】授業内容を復習し、リアクションペーパーを提出すること (2時間)
【担当教員】鈴木生郎
【授業形態】対面授業、同時双方向型授業
3 人生がもつ多様な「意味」
人生が「意味」をもつということについてより広い視野から考えるために、人生を物語として捉える一つの考え方を紹介します。さらに、こうした考え方を使いながら、人生に含まれるさまざまな意味・価値をみなさんと一緒に探求していきます。(A-1-1, A-3-1)
【事前学習】事前資料を読み、人生の意味についてより幅広い理解が可能であるかについて考えること (2時間)
【事後学習】授業内容を復習し、リアクションペーパーを提出すること (2時間)
【担当教員】鈴木生郎
【授業形態】対面授業、同時双方向型授業
4 人生の完成と自死
古来、哲学者たちは〈人生を作品として完成させる〉ことが〈善く生きる〉ことに結びつくと主張してきました。しかし、それは本当でしょうか。私が担当する講義では、両者の結びつきについて考えていきたいと思います。第4回授業では、人生を完成させるために自死を選んだ日本の作家、三島由紀夫をとりあげます。三島にとって〈善く生きる〉とはどのようなことであり、本当に彼は人生を完成させ、善く生きることができたと言えるのでしょうか。(A-1-1、A-3-1)
【事前学習】自分は人生を完成させたいと思うかどうかを考え、自分がそう思う理由についても考える (2時間)
【事後学習】授業内容を復習し、リアクションペーパーを提出すること (2時間)
【担当教員】櫻井一成
【授業形態】対面授業、同時双方向型授業
5 理想的な生、個性的な生、生の偶然性
第5回授業では、人生の作品化を正面から批判する哲学者としてハンナ・アーレントを取り上げます。アーレントが人生の完成を否定的に評価する理由を掘り下げ、バイオテクノロジーにもとづいたエンハンスメント文化(美容整形、不妊治療など)が定着しつつある現代社会において、彼女の思想がどのような意味をもちうるのかを批判的に検討します。(A-1-1、A-3-1)
【事前学習】現在の自分にとって問題となる人間関係や身体の特徴を考え、なぜそれが問題となるのかを考える (2時間)
【事後学習】授業内容を復習し、リアクションペーパーを提出すること (2時間)
【担当教員】櫻井一成
【授業形態】対面授業、同時双方向型授業
6 人工知能と死生学
人工知能研究は役に立つ道具を生み出す工学として注目されてきたが、知能を「作ってみて理解する」という構成論的な科学的アプローチとも捉えられます。つまり「生物に死がない世界」をコンピュータの中で再現することができうるのです。本講義では、人工知能を題材とすることで見えてくる死が生命に与える価値を議論していきます。(A-3-1)
【事前学習】これまでの授業を振り返り、死生学に関する自身の考えをまとめておく。 (2時間)
【事後学習】説明内容と議論した内容をまとめ、今後の学びに備えて整理しておくこと。 (2時間)
【担当教員】大澤正彦
【授業形態】対面授業、同時双方向型授業
7 人工知能と心と死生学
ロボットが壊れることは、「ロボットの死」と言えるでしょうか。この問題は、そのロボットと関わった人の存在なしには議論ができません。例えばロボットを心から愛していた人からすれば、それは死に匹敵する体験であり、ロボットを単なる道具と捉えている人にとっては、単に故障と捉えられるでしょう。Human-Agent Interaction (HAI)という研究領域で明らかにされつつある「ロボットに感じる心」について議論し、死生学の観点から考察していきます(A-2-1)
【事前学習】これまでの授業を振り返り、死生学に関する自身の考えをまとめておく。 (2時間)
【事後学習】説明内容と議論した内容をまとめ、今後の学びに備えて整理しておくこと。 (2時間)
【担当教員】大澤正彦
【授業形態】対面授業、同時双方向型授業
8 となり合わせの生と死:脳死を通して死生観と向き合う
脳死の定義や判定基準などを講義し、脳死=死だと思うかなどグループディスカッションを行います。また、臓器移植について講義し、移植手術を希望するかどうかなどグループディスカッションを行います(A-2-1, A-6-2)
【事前学習】これまでの講義の復習と事前に配布するレジュメを読んで、自分なりの死生観を考察する。 (2時間)
【事後学習】講義の前後で、脳死や臓器移植に対する考え方が変化したか、変化したのであればどのように変化したかについて考察する。 (2時間)
【担当教員】金子絵里乃
【授業形態】対面授業、同時双方向型授業
9 グリーフケアとは?
グリーフやグリーフケアとは何か、またその実践について講義します。それを踏まえた上で、自らの体験を照らし合わせながら、どのようなグリーフを抱えやすいかについて考察してもらいます。(A-1-1, A-8-2, A-6-2)
【事前学習】事前に配布するレジュメを読んで、グリーフやグリーフケアの基礎的な知識を学ぶ。 (2時間)
【事後学習】グリーフケアには、どのようなことがたいせつであるかについて考察する。 (2時間)
【担当教員】金子絵里乃
【授業形態】対面授業、同時双方向型授業
10 人の話を「きかない」から見えてくる
人の話を「きかない」を受講生同士で体験しながら、話を「きく」とはどういうことか、それが相手に何をもたらすのかを学びます。そこから人とのかかわりについて考えます (A-6-2)。
【事前学習】人の話をきかないようにするにはどのようにしたらよいか、あらゆる手段を考えておく。 (2時間)
【事後学習】人の話を傾聴するとはどういうことか、まとめる。 (2時間)
【担当教員】河野千佳
【授業形態】対面授業、同時双方向型授業
11 防衛機制 自身の思考パターンについて知る
防衛機制の代表的なものとその内容について、さらにバーンアウトとその対処方法について学ぶことで、ストレス下にある時の自身の思考パターンについて気付き、理解します。さらに死の受容について学びます。そこから、人は身近な人の死、自分の死をどのように考えるかについても触れていきます (A-4-1)。
【事前学習】これまでにストレスがかかると、どのような反応をすることが多かったか、自身について考えておく。 (2時間)
【事後学習】自身の思考パターンについて知り、ストレスの対処方法(時間とお金がかからない方法からある程度かけて行う方法まで)をまとめる。 (2時間)
【担当教員】河野千佳
【授業形態】対面授業、同時双方向型授業
12 死の「経験」を考える
人間は自分の死を(死んでしまった段階で経験する主体であることを停止するという意味で)経験できないものです。ですが、他人の死もまた(自分が死んでしまったわけではないという意味で)経験することもできません。この講義では、このような構造的な困難の中で、人々はどのように死にむきあい、それを「経験」してきたのかという問題について、終末期医療や葬儀の文化人類学的研究などをもとに考えていきたいと思います。
【事前学習】あなたがこれまでの人生で経験した「死」について考えてくる。その上で、「概要」にも記した通り、原理的には経験できないはずの「死」をあなたはどのように経験した(と思っている)のか、自分の言葉にできるようにまとめておいてください。 (2時間)
【事後学習】授業内容を振り返った上で、死を「経験する」とはどのようなことであるかについて、改めて自分の言葉でまとめる。 (2時間)
【担当教員】大川謙作
【授業形態】対面授業、同時双方向型授業
13 死の「語り」を考える
前回に引き続き、自分のこととしても他人のこととしても経験できないはずの死について「語る」とはどのようなことかを考えます。その際、「死体」および「死者との対話」に焦点を当てつつ、現代社会における死の位置づけの変容について、文学や映画などを題材に考えたいと思います。
【事前学習】以下①から③のいずれか一つ(複数実行できるならばより望ましい)。①映画『おくりびと』を鑑賞しておき、感想をまとめておく。②映画『羊飼いと風船』を鑑賞しておき、感想をまとめておく。③ペマ・ツェテンの短編小説「マニ石を静かに刻む」(ペマ・ツェテン著『風船』春陽堂書店に所収)を読み、感想をまとめる。 (2時間)
【事後学習】四月からこの授業を受ける中で、自分の死についてのイメージがどのように変化してきたかを考え、まとめる。 (2時間)
【担当教員】大川謙作
【授業形態】対面授業、同時双方向型授業
14 社会学から考える死と生
 人間の死とは、「個体の心肺機能が永久に停止する」という、生物学的な生の終焉だけを意味するものではありません。それはまた、死亡届の提出や葬儀の実施といった社会的手続きを伴いつつ、確定化されていくものです。本講義では医療社会学の知見を紹介しながら、biological life(生物学的生)/biographical life(生活史的生)の二重性が織り成す形で展開する、現代社会における死と生について考えます。(A-1-1, A-3-1)
【事前学習】事前に配布された資料を読み、その資料の巻末に記された「問い」に対する応答案を考えてくる。 (2時間)
【事後学習】講義内容を振り返り、リアクションペーパーを作成する。 (2時間)
【担当教員】石岡丈昇
【授業形態】対面授業、同時双方向型授業
15 生という不治の病:死生学をめぐる社会学的記述
本講義では、担当教員(石岡)による“父の看取り”の経験とその省察について、話をします。担当教員は、父の長年の闘病に伴走しながら「病いとは何か」について考えることになりました。病いから完全に解放された生を想定するのではなく、生とは病いを抱えて(それと付き合って)進むものであるという見解を深めてみること。この点を「生という不治の病」(医療人類学者R.マーフィーの言葉)という視座から考えます。(A-1-1, A-3-1)
【事前学習】事前に配布された資料を読み、その資料の巻末に記された「問い」に対する応答案を考えてくる。 (2時間)
【事後学習】期末レポートを作成し、提出する。 (3時間)
【担当教員】石岡丈昇
【授業形態】対面授業、同時双方向型授業
その他
教科書 使用しない
参考書 使用しない
成績評価の方法及び基準 レポート:中間レポートと期末レポート(40%)、授業参画度:出席・議論参加・リアクションペーパー(60%)
対⾯授業に参加できない学生に対しては、Zoomなどで必ず参加し、ブレイクアウトルームなどを開設するので議論に加わっていれば、リアクションペーパー、中間・期末のレポートをもとに、他の学生と同じように評価する。
オフィスアワー メールやBlackboardでの問い合わせは随時受けつける。

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