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令和2年度入学者 | 英米文学研究1 | ||||
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令和元年度以前入学者 | 英米文学特殊研究5 | ||||
教員名 | 高橋利明 | ||||
単位数 | 2 | 課程 | 前期課程 | 開講区分 | 文理学部 |
科目群 | 英文学専攻 | ||||
学期 | 前期 | 履修区分 | 選択必修 |
授業の形態 | 課題研究 *(CHIPSでの履修登録に加え)初回授業時までにBlackboardでこの科目の登録をしておくこと」 |
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授業概要 | 世界文学の最高峰とも評価されるメルヴィルの『白鯨』という作品の舞台が「海」であることは大変重要である。作家は生命の起源である「海」にユートピアを求めていたのであり、白鯨追求を通して「海」という自然そのものを描くことによって、身体的なユートピアを探究したのである。『白鯨』という作品の本質的かつ普遍的な意味を考察する。 |
授業のねらい・到達目標 | 院生はこの授業における『白鯨』というテクストの精読を通して、まず全般的な英語の語彙力を増強でき、と同時に読解力を深化させることができる。また、テクストの様々な情報を的確に捉え、文脈上何が重要であるのかを識別する能力を獲得することができ、その内容を自分の言葉で発表し、他者との議論の中で認識をさらに深めることができる。 善悪の認識、データバンクとしての芸術言語、社会と個人をめぐる文学的問題の本質的な普遍性について基本的な説明を与えることができる。 この科目は文理学部(修士(文学))のDP及びCPの123に対応しています。 |
授業の方法 | 各回、割り当ての部分を担当する1名の院生が、ハンドアウト(A4版)を用意し、それをもとに発表していく。院生は、ハンドアウトに簡単なあらすじと自分が重要と考える引用原文をあげ、その問題点の分析を発表していく。その後、発表者の解釈をめぐって、クラス内で議論を展開していく。 |
授業計画 | |
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1 |
ガイダンス及び、『白鯨』解説ビデオ鑑賞
【事前学習】翻訳でよいので出来るだけ全体を読み始めること。 (2時間) 【事後学習】解説ビデオの内容を反芻し、テーマ的なことなどをノートなどにまとめること。 (2時間) |
2 |
映画『白鯨』ビデオ鑑賞
【事前学習】第1回目の解説ビデオを想起しつつ、翻訳の読書を継続すること。 (2時間) 【事後学習】映画と作品とは異なる面が多いが、映像作品としてひとまず理解し、興味を持続させること。 (2時間) |
3 |
Ch.91 “The Pequod meets the Rose-bud”
【事前学習】本章を精読した上で、二等航海士スタッブが鯨の死体から取り出した竜涎香について調べておく。 (2時間) 【事後学習】竜涎香を含め、海上で他の捕鯨船と出会う意味について考察する。 (2時間) |
4 |
Ch.92 “Ambergris” / Ch.93 “The Castaway”
【事前学習】92章は竜涎香の解説の章ゆえ、精読によって認識をさらに深める。93章は海に投げ出され狂気に陥った黒人給仕ピップの姿を理解する。 (2時間) 【事後学習】「人間の狂気は天の正気」という、リア王的表現の意味を考察する。 (2時間) |
5 |
Ch.94 “A Squeeze of the Hand” / Ch.95 “The Cassock”
【事前学習】抹香鯨の脳油のかたまりをもみほぐしながら、ある種の恍惚感にひたる語り手イシュメールの描写に注意して精読する。 (2時間) 【事後学習】メルヴィルが人間関係の理想として描く「友愛」について整理する。 (2時間) |
6 |
Ch.96 “The Try-Works”
【事前学習】製油かまどを焚く「火」そのもの恐怖とは何かを考察する。 (2時間) 【事後学習】人工的な「火」を凝視し続けることで生ずる狂気に作者は何を象徴したのかを理解する。 (2時間) |
7 |
Ch.97 “The Lamp” / Ch.98 “Stowing Down and Clearing Up”
【事前学習】繰り返される捕鯨とその後の処理のありよう(けがれと清掃)を精読する。 (2時間) 【事後学習】魂の不滅を言う表現にメルヴィルの思想を読み取る。 (2時間) |
8 |
Ch.99 “The Doubloon”
【事前学習】エイハブによってマストに釘づけにされたダブロン金貨の象徴性を読み取る。 (2時間) 【事後学習】人間によるテクストの意味解釈の多様性を把握する。 (2時間) |
9 |
Ch.100 “”Leg and Arm・The Pequod, of Nantucket, meets the Enderby, of London”
【事前学習】白鯨に腕を奪われた英国の捕鯨船のブーマー船長との交歓の意味を考察する。 (2時間) 【事後学習】白鯨に対するエイハブの執念についてさらに理解を深める。 (2時間) |
10 |
Ch.101 “The Decanter”
【事前学習】精読によって、捕鯨船が糧食関係で何を積載していたかを確認する。 (2時間) 【事後学習】テクストの復習によって理解を深める。 (2時間) |
11 |
Ch.102 “A Bower in the Arsacides”
【事前学習】ソロモン群島のある島には、漂着した抹香鯨の骸骨が大事なお社にされている。島の自然と一体化したそのお社の意味を考察する。 (2時間) 【事後学習】文化人類学的思考と合わせて、作者の自然観を理解し、整理する。 (2時間) |
12 |
Ch.103 “Measurement of the Whale’s Skeleton” / Ch.104 “The Fossil Whale”
【事前学習】鯨学と呼ばれる章だが、精読しその知識を確認する。 (2時間) 【事後学習】作品全体における鯨学の意味を自分なりに考察する。 (2時間) |
13 |
Ch.105 “Does the Whale’s Magnitude Diminish?―Will He Perish?”
【事前学習】鯨の不滅を言う章であり、いかに鯨が偉大で崇高であるかを読み取る。 (2時間) 【事後学習】全篇を一貫する鯨に対するオマージュの意味を再確認する。 (2時間) |
14 |
Ch.106 “Ahab’s Leg” / Ch.107 “The Carpenter”
【事前学習】エイハブの義足を交換する必要が生じ、大工が呼ばれる。義足と白鯨がリンクしてさらに復讐心を燃やすエイハブについて理解する。 (2時間) 【事後学習】非情かつ鈍感な人間としての大工の60年の生き様に何を語り手が見出したのかを考察する。 (2時間) |
15 |
授業内試験と解説
【事前学習】第1回から第14回の内容を復習すること (A-8) (2時間) 【事後学習】学修内容の整理をし、善悪の認識、社会と個人をめぐる文学的問題の本質的な普遍性について認識を深めること。 (A-1, A-8) (2時間) |
その他 | |
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教科書 | Moby-Dick, Library of America Paperback Classics |
参考書 | 使用しない |
成績評価の方法及び基準 | レポート:小論文作成(50%)、授業参画度:課題への回答及び議論(50%) |
オフィスアワー | 授業終了後に高橋研究室にて。 |