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民俗文化論

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科目名 民俗文化論
教員名 斎藤弘美
単位数    2 学年 3・4 開講区分 文理学部
(他学部生相互履修可)
科目群 社会学科
学期 後期 履修区分 選択
授業概要 毎年あらたなテーマを設定し、そのときどきの時事的課題に対して民俗学の知見をもとに日本の文化を解説する本講義。今期のテーマは「日本の社会における民俗の多様性と異文化共生」とする。
2020年のパラリンピックを前に障がい者に対する社会整備が進んでいる。同じく2020年には白老町ポロト湖畔に「国立アイヌ民族博物館」が完成する。一方で、沖縄の米軍基地問題は返還47年を経ても全く解決せず、外国人技能実習制度の施行に合わせて日本社会には今まで以上に多くの外国人在留者が増えていくとみられている。
こうした中、マジョリティとマイノリティという異文化への相互理解が今後より一層求められるようになるだろう。一見、関係ないように見える沖縄の米軍基地問題もLGBTの問題も部落差別の問題も実は全て、日本民俗社会に根ざす異文化との葛藤につながっている。
授業では、日本社会がこれまでマイノリティに対してどのように対応し、また共生してきたかを民俗学的知見により再考し、現代にどのように生かせるかを考える。
授業のねらい・到達目標 これまで意識せずにイメージしていた「日本人」という概念が、どのように創られているか、かつての日本社会が障がい者をどのように捉えてきたかを、民俗学的視点を通して学ぶことにより、多様性への理解を深め、共生の思想を得ることが出来るようになる。さらに民族的マイノリティとしてのアイヌ文化や沖縄との関係、在留外国人との共生といった現代的な課題について考えるヒントを得ることができる。
最終的にはマジョリティとマイノリティという視点からの異文化理解と共生という今日的な課題に対して、自ら「気づく」「考える」習慣が身につく。

この科目は文理学部(学士(社会学))のディプロマポリシーDP2及びカリキュラムポリシーCP4に対応しています。
授業の方法 講義形式で進めるが、講義を聴くことで湧いてきた疑問はリアクションペーパーを活用し、できる限り答える形での双方向授業を行う。
また、理解を助けるために関係資料の配付やDVD等の視聴も適宜入れていく。
事前学習として、前回までの履修内容を確認し、次の授業の理解に備えること。
授業中の板書は要点項目のみ記載するので、事後学習で必ずノートを整理し、復習しておくこと。
授業終了時に提出するリアクションペーパーは当然、授業参画の一環であると認識しておく。
自ら考えることも大切なので、授業の最後にレポートの提出を求める。
授業で最も大切なのは「気づく」「考える」習慣。これを身につけられるよう重要な項目については繰り返し触れていく。
本授業の事前・事後学習は,各2時間の学習を目安とします。
授業計画
1 はじめに  「あたりまえを疑う」まずは「日本人」という幻想に気付くことから(「民俗学」とはどのような学問かを説明する。授業方法についても説明する)
【事前学習】シラバスを事前に確認すること
【事後学習】第2回以降の授業に備え、この日の板書を元に自らノートを整理するとともに、「日本人」についてあらためて自らの認識を再確認してみる。
2 日本の民俗社会の「マジョリティ」は誰か? ~ 民俗学に学ぶ<定着農耕民VS漂泊芸能者、里人VS山人>
【事前学習】前回の授業内容を整理、理解し、疑問点をメモしておく。
【事後学習】その日のうちに授業内容について、板書を元に自らノートを整理し、日本社会における定着と漂白に関する理解を深める。
3 障がいという発想① ~ 視覚障がい者と芸能・信仰(瞽女・霊能者)についてDVD視聴と解説により理解する
【事前学習】前回の授業内容について、とくに漂泊に関する問題を整理、理解し、疑問点はメモしておく。
【事後学習】その日のうちに授業で視聴したDVDの内容について、自らノートを整理し、視覚がい害者と民俗についての理解を深める。
4 障がいという発想② ~ 視覚障がい者と芸能(琵琶法師)についてCDと解説により理解する
【事前学習】前回の授業で扱った瞽女・霊能者について理解したことをまとめ、疑問点をメモしておく。
【事後学習】その日のうちに授業で視聴した琵琶法師等の視覚障がい者の芸能と民俗について、自らノートを整理し、理解を深める。
5 障がいという発想③ ~ 身体障がいと異形の神(妖怪のかたち)について民俗学的視点から解説する
【事前学習】前回までの授業内容を整理、障がい者と民俗についての理解を整理し、疑問点はメモしておく。
【事後学習】その日のうちに「身体がいと異形の神」についての授業内容を、ノートをまとめながら整理し、理解を深める。
6 障がいという発想④ ~ 知的障がいと宝子(福助など、障がい児に対するまなざし)についてを水俣病に関するDVD視聴も含めて解説する
【事前学習】前回までの授業内容を整理、理解し、疑問点をメモしておく。
【事後学習】その日のうちに授業内容(障がい児に対するまなざし)について、DVD視聴で得た知識や板書を元にノートを整理し、理解を深める。
7 日本の中の異文化① ~ アイデンティティを考える(在日と呼ばれる韓国・朝鮮人や中国人の人々)
【事前学習】前回までの「障がいと民俗」に関する授業内容を整理、理解し、疑問点はメモしておく。
【事後学習】その日のうちに授業内容(在日と呼ばれる人々のアイデンティティ)について、板書を元に自らノートを整理し、理解を深める。
8 日本の中の異文化② ~ アイデンティティを考える(日系と呼ばれる在留外国人の存在)
【事前学習】前回の「在日」と呼ばれる人々の存在についての理解を確認し、疑問点があればメモしておく。
【事後学習】その日のうちに授業内容(日系人のアイデンティティ)について、板書を元に自らノートを整理し、理解を深める。
9 9 日本の中の異文化③ ~ アイヌ文化を知る<その1>DVD視聴によりアイヌ文化にふれる
レポート執筆の要領とテーマ設定についての解説をする(提出は第15回授業内)
【事前学習】前回までの「在日」と「日系」の文化に関して、授業内容を整理、理解し、疑問点をメモしておく。
【事後学習】その日のうちにDVD視聴などにより理解した「アイヌ文化」について、自らノートを整理し、理解を深める。また、今回提示されたレポートテーマに関して、レポートの構想を自分なりに考えてみる。
10 日本の中の異文化③ ~ アイヌ文化を知る<その2>日本におけるアイヌ民族の歴史を学ぶ
【事前学習】前回の授業で学んだアイヌ文化に関して復習し、疑問点をメモしておく。
【事後学習】その日のうちに授業で学んだ「日本の中のアイヌ民族」について、ノートを整理し、理解を深める。またレポートについては構想をまとめて、執筆の準備を進める。
11 日本の中の異文化④ ~ 琉球文化を知る<その1>沖縄に関するDVD視聴により理解を深める
【事前学習】前回までの「アイヌと日本文化」に関して、日本文化の多様性という観点から理解し、疑問点をメモしておく。
【事後学習】その日のうちに「沖縄・琉球の文化」について学んだことを、ノートに整理し、理解を深める。同時にレポート執筆を進める。
12 日本の中の異文化⑤ ~ 琉球文化を知る<その1>沖縄と日本の歴史を学び、現在の沖縄の問題を考える
【事前学習】前回までの琉球文化に関する授業内容を整理、理解し、疑問点をメモしておく。
【事後学習】その日のうちに「沖縄と日本の歴史と現代」についての授業内容を、ノートに整理し、理解を深める。同時に引き続きレポート執筆も進める。
13 後期講義内容の整理と解説 ~ 前期授業を振り返り、何を学んできたか総括する。レポート執筆の要領とテーマ設定について再確認する(提出は第15回授業内)。
【事前学習】第1回~第12回の授業内容に関して、あらためて自分のノートを整理し、疑問点があれば質問できるようまとめておく。レポートの書き方や内容についても疑問点があればメモしておき、質問する。
【事後学習】これまでの授業内容全般に関して、あらためて自分のノートを整理し、理解を深める。レポートに関しては執筆を進め、締め切りまでに仕上げられるようにする。
14 授業内テストと解説 ~ 民俗文化論の授業を通して学んできたポイントを再確認する
【事前学習】第1回~第13回の授業内容に関して、あらためて自分のノートを整理し、理解を深め、テストを受ける準備をする。
【事後学習】試験結果を自分なりに振り返り、理解の足りなかった部分を確認しておく。レポートを完成させる。
15 試験結果講評と後期授業のまとめ・レポート提出 ~前回のテストの結果の講評を受け、自らの理解について再確認する。最後の授業としては、障害、民族(国籍)、性差などによる差別の根底にある民俗的意識を認識することで、現代の私たちが直面するさまざまな「異文化との共生」の知恵として民俗学を活かしていく方法を考える。
【事前学習】試験結果について、疑問点があればメモしておき、授業内に質問する。レポートは執筆要領通りにかかれているかを確認しながら、完成させる。
【事後学習】「民俗文化論」を受講して、自ら「気づく」「考える」「当たり前を疑う」習慣が身に付いたかどうか確認する。
その他
教科書 教科書は指定しない。
参考書 参考書は指定しない。
成績評価の方法及び基準 試験(35%)、レポート(35%)、授業参画度(30%)
オフィスアワー 非常勤講師室または授業施行教室にて授業前後

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