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東洋史入門

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科目名 東洋史入門
教員名 加藤直人
単位数    2 学年    1 開講区分 文理学部
科目群 史学科
学期 後期 履修区分 選択必修
授業概要 高等学校時代、歷史の授業は「日本史」と「世界史」の2分野に分けられていたが、大学教育では「日本史」「東洋史」「西洋史」の3分野に分けられている。これはいったいなぜなのか、またそれが成立した歴史的背景について学ぶ。基本的に、授業は4部構成で、まず①「東洋史」とはなにか、②「東洋史」研究の方法、③「東洋史」の基本史料、史料学、④あたらしい「アジア」研究とそのゆくえ、からなる。基本的に、講義形式で授業をすすめる
授業のねらい・到達目標 我々が何気なく使っている「東洋」「アジア」なる言葉は、実体として存在するのか、また、「東洋史」という分野のもつ歴史性・政治性についても理解する。到達目標としては、
 ①ヨーロッパの対極としてつくり出された「東洋」の存在を理解できる。
 ②「東洋史」の成立とその歴史的な流れについて理解できる。
 ③「東洋史」研究の伝統とその研究方法の多様性について理解できる。
 ④「東洋史」関係の諸史料について適切な知識を習得できる。
 ⑤ あたらしい研究手法についてその知識を有することができる。
の5点。

この科目は文理学部(学士(文学))のディプロマポリシーDP6及びカリキュラムポリシーCP9に対応しています。
授業の方法 講座担当者が作成した教科書『東洋史入門』(プリントの上、配布する)に基づき、講義形式で行う。また、授業の中で、学生の理解度を測定するために、小テスト等を随時実施する。また、さまざまなデータベース、入門書等を利用して、自分なりの研究文献目録を作成する。
本授業の事前・事後学習は、各2時間の学習を目安とします。
授業計画
1 授業の進め方および教科書、成績評価の方法等について説明する。
【事前学習】
高等学校時代の世界史の教科書を確認しておく。
【事後学習】
「東洋史」について基本的な知識を習得しておく。
2 「東洋史」とは何か。「東洋史」はどのように成立したのか。日本大学東洋史の歴史的展開等について学ぶ。
【事前学習】
「東洋」「アジア」の範囲はどこまでなのか、またそのように設定された理由はなにか調べておく。
【事後学習】
授業のなかで指摘された「東洋史」特殊性について整理しておく。
3 「アジア」なるものは存在するのか、そのような考え方はどのように成立したのかについて学ぶ。また、ウォーラースティンの「近代世界システム」の「理論」について、その概要を理解する。
【事前学習】
教科書を熟読し、モンテスキューからウィットフォーゲルに到るヨーロッパ思想家の「アジア」観について理解しておく。
【事後学習】
ウォーラースティンの考え方について適切に整理をしておく。
4 「東洋史」を研究するにはどのようにすればよいのか。基本的な事項について解説する。
【事前学習】
教科書を熟読し、どのような研究手法があるのか「分野史」について整理しておく。
【事後学習】
授業中に指摘された研究手法について、関連書籍を史学研究室書庫、あるいは図書館等で確認しておく。
5 「東洋史」研究はどのように進めればよいのか、入門書、概説書等、研究への道を導く書籍等について解説する。
【事前学習】
教科書に載っている入門書、概説書等を実際に手に取って確かめる。
【事後学習】
入門書等に載っている主要な「研究論文」等の一部を複写して目を通しておく。
6 分野史、とくに法制史について解説する。次いで「工具書」の紹介と具体的な使い方について解説する。
【事前学習】
教科書を熟読し、政治史、法制史、経済史、国際関係史、環境史等々さまざまな分野史について理解を深めておく。
【事後学習】
辞典類については、史学科閲覧室等で実際に手に取って確かめる。
7 「東洋史」関連文献の整理と検索、そして論文の書き方等について学ぶ。
【事前学習】
「東洋史」京都大学人文科学研究所附属東アジア人文情報学研究センターの「東洋学文献類目」等、東アジア史研究文献データベースにアクセスして、実際に検索してみる。
【事後学習】
将来、受講生自身が研究したい分野について、教科書記載のアドレスにアクセスし、どのような研究があるのか確かめておく。
8 「東洋史」の基本史料、とくに中国史を中心としてその概要を理解する。
【事前学習】
教科書を熟読し、史学科書庫等で実際に手に取ってみる。
【事後学習】
「二十四史」とはなにか、正史ごはなにかについて的確に理解する。
9 『資治通鑑』と編年体史書、そして一種の「百科事典」にあたる「類書」について学ぶ。
【事前学習】
紀伝体と編年体の違いについて整理しておく。
【事後学習】
『資治通鑑』と朱子学との関連について確認する。
10 中国の政治制度を知る上で欠かすことのできない「政書」(「三通」「会要」「会典」「律」「則例」等)について学ぶ
【事前学習】
教科書を熟読し、中国における「政書」の存在意味について考えておく。
【事後学習】
史学科書庫等で、『通典』や『大明会典』等を実際に手に取って確かめる。
11 皇帝一代の記錄「実録」や、皇帝の言・行を記録した「起居注」とはどのようなものか。清朝の事例をもとに考える。
【事前学習】
教科書を読み、例えば清の太祖ヌルハチの実録は何種類あるのか、整理しておく。
【事後学習】
清太祖ヌルハチ、太宗ホンタイジの実録はなぜ多数あるのか、その理由について考えてみる。
12 中国の歴史文書史料にはどのようなものがあり、どの程度現存しているのか。敦煌文書から現代文書にいたるまで、その概要を理解する。
【事前学習】
教科書を読み、中国における文書記錄の歴史について理解しておく。
【事後学習】
敦煌文書、ハラホト文書等、現在に残る貴重な文書資料について整理する。
13 あたらしい「アジア」研究のながれについて開設する。まず「社会人類学」的な方法論を考える。
【事前学習】
教科書を読み、中根千枝、マリノフスキー、レヴィストロース、ラドクリフ=ブラウン等の考え方を整理しておく。
【事後学習】
社会人類学の考え方と歴史学との接点について、関係図書等を読み、理解しておく。
14 上田信「史的システム論」、フリードマン「中国の宗族と社会」などを読み、中国におけるリニージ親族関係の問題を考える。
【事前学習】
中国の宗族とはなにか、教科書を読み理解しておく。
【事後学習】
中国における親族関係の特徴について調べておく。
15 中国史を考える上で、その社会を動態としてとらえる意味について考える。また、ソシアビリテ(社会的結合)論、パブリックスフェア(公共領域)論等、近年提唱されている研究方法を中国史に適応するのが適切かどうかについても触れる。
【事前学習】
人々の日々の生活を規定するものはなにか、史料に登場する人物だけでなく、様々な視点から歷史を捉えて行くにはどのようにすればよいのか、自分なりにしっかりと整理をしておく。
【事後学習】
ソシアビリテ論、パブリックスフェア論のもつ特徴(限定)について、調べてみる。
その他
教科書 教科書は、授業担当者著『東洋史入門』。授業開始時にプリントで配布する。
参考書 使用しない
成績評価の方法及び基準 試験(50%)、レポート(30%)、授業内テスト(20%)
授業内テストは小テストをおこないます。
オフィスアワー 2号館9階研究室

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