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ドイツ語学講義4

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科目名 ドイツ語学講義4
教員名 宮澤 義臣
単位数    2 学年    2 開講区分 文理学部
(他学部生相互履修可)
科目群 ドイツ文学科
学期 後期 履修区分 選択必修
授業テーマ ドイツ語学(ドイツ語を対象に研究する学問です。ドイツ語の会話力や運用能力を高めるための訓練ではありません。)の一部分としての音韻論が実際のドイツ語運用にどのように使われるかに焦点を当てて講義と知識理解のための演習をします。
受講者が学習してきた標準ドイツ語の理想的な発音と,実際に運用されるドイツ語の音声との差異を方言やレトリックの観点から考察します。
授業のねらい・到達目標 1.標準ドイツ語の音韻と方言の音韻の対応関係が理解できる。
2.ドイツ語史上重要な子音推移を理解し,高地ドイツ語と他のゲルマン語の音韻対応関係が理解できる。
3.ウムラウト,語尾変化,語構成における綴りの変化をAblaut,同化,異化などの音声現象から理解できる。
4.レトリックと音韻の関係が理解できる。
授業の方法 前半では知識理解のための講義を行い,後半でその知識を活かした演習問題で理解を堅固にしていきます。
履修条件 特にありませんが,ドイツ語を対象にしているので,ドイツ語の基礎知識のある学生が対象です。(ドイツ文学科以外の学生はこの点を留意して下さい。)
事前学修・事後学修,授業計画コメント 毎回予習内容を指定します。(授業冒頭でチェックします。)
授業計画
1 音韻からテキストへ1
アクセントと音の高低について
2 音韻からテキストへ2
文におけるイントネーションのマーカー
3 標準語と方言の関係1
Bairisch (ei:oa, z:s, ich:i, etc.) バイエルン方言と標準ドイツ語の音声比較 (Ea konn koa Boarisch.は標準ドイツ語でどういう音韻対応か?標準ドイツ語の Er kann kein Bairisch.)
4 標準語と方言の関係2
Plattdeutsch (t:d, z:t, ch:k, s:t etc. ) 低地ドイツ語と第二次子音推移 (Dat Water bruuk ick nich.は標準ドイツ語でどういう音韻対応か?標準ドイツ語の Das Wasser brauche ich nicht.)
5 標準語と方言の関係3
Schweizerdeutsch (/r/, 複母音 etc.) スイスドイツ語と標準ドイツ語の音声比較 (Mis Chind isch chlii. は標準ドイツ語でどういう音韻対応か?標準ドイツ語の Mein Kind ist klein.)
6 標準語と方言の関係4
Jiddisch und Mittelhochdeutsch イディッシュ語と中世高地ドイツ語の関係 (Ich wejs kejn sakh nit. = Des enweiz ich niht.の類似性はなぜ?)
7 標準語と方言の関係5
Elsässisch, Lëtzebuergesch 他言語との接触による音韻的特徴 (例:アルザス語 Éch han Biecher. ルクセンブルク語 Ech hunn Bicher. の ch はどんな音か?標準ドイツ語の Ich habe Bücher.)
8 音韻と語との関係1
Assimilation 同化現象について (Wir haben → Mir hamm, ドイツ語 Nummer, フランス語 numeroなのになぜ英語は number?)
9 音韻と語との関係2
Dissimilation 異化現象について (中世高地ドイツ語 ein lieber bruoderは標準ドイツ語 ein lieber Bruderと違う音だった。)
10 音韻と語との関係3
Ablaut und Umlautの語彙的役割について (例:gEHen-gIng-gegAngenの音韻の役割,Magd-Mädchen, Bock-Böckchen, Mund-Mündchenの意味)
11 音韻と語との関係4
音韻が原因の文法的現象 -e-, -r-の消失と付加 (例:teuer-teurer, auf-darauf, Tokio-Tokioter)
12 音韻と語との関係5
レトリックと音韻 (例:頭韻,脚韻を詩や音楽とともに考える)
13 授業内試験と解説
試験の概要は第12回授業でお知らせします。
14 ビデオ・音声教材を利用した教室外学習
ビデオ・音声教材を見聞して,音韻論の観点から研究報告をしていただきます。
15 第14回授業の解説と講評,この講義の総括
第14回授業でめいめいが把握した音韻論的特徴を発表しあい,その成果を受けて本講義の総括をします。
その他
教科書 教科書は使いません。参考書として何冊か音声学,発音辞典の類を紹介しますので,受講者は図書館等で参照・閲覧してみて下さい。
参考書 M.シュービゲル著 小泉保訳 『新版 音声学入門』 大修館書店 1985年 第2版
Max Mangold, Das Aussprachewörterbuch:Duden 6, Dudenverlag, 2010, 6 edition
Helmut de Boor et al., SIEBS Deutsche Aussprache, Walter de Gruyter & Co., 1969, 19 edition
国際音声学会編 竹林滋・神山孝夫訳 『国際音声学記号ガイドブック』 大修館書店 2003年 第1版
ジェフリー・K・プラム他著 土田滋他訳 『世界音声記号辞典』 三省堂 2003年 第1版
Nanna Fuhrhop, Jörg Peters, Einführung in die Phonologie und Graphematik , J.B.Metzler, 2013, 1 edition
Hadumod Bußmann, Lexikon der Sprachwissenschaft, Kröner, 2008, 4 edition
川島淳夫他 『ドイツ言語学事典』 紀伊國屋書店 1994年 第1版
W. Lindow, D. Möhn et al., Niederdeutsche Grammatik, Verlag Schuster Leer, 1998, 1 edition
Heinrich Thies, (hrg.) Fehrs-Gilde, Plattdeutsche Grammatik, Wachholz, 2011, 2 edition
Ludwig Merkle, Bairische Grammatik:edition monacencia, Allitera Verlag, 2005, 1 edition
Ludwig Zehntner, Bairisches Deutsch, edition vulpes, 2005, 1 edition
Josef Tscholl, Die Südtiroler Mundart:Rheihe "An der Etsch und im Gebirge" Bd.47, Verlag A. Weger, 2001, 2 edition
Luc Schiltz, Lëtzebuergesch Schwätzen, Verlag Michael Weyand, 2012, 2 edition
Myriam Welschbillig et al. 『Luxdico Lëtzebuergesch>Däitsch Deutsch>Luxemburgisch』 Editons Schortgen 2011年 第2版
Jean-Jacques Brunner, L'Alsacien sans peine:La Méthode Assimil, Assimil, 2001, 1 edition
Paul Adolf, Learning Alsatian through English, Pargrave Macmillan, 2007, 1 edition
Ronald Lötzsch, Jiddisches Wörterbuch:DUDEN Taschenbücher Bd.24, Duden Verlag, 1992, 2 edition
Jürg Bleiker, Schwyzertütsch für Anfänger, arsEdition, 1995, 2 edition
主として音声学の参考文献を紹介しておきました。
Duden Aussprachewörterbuchは実際に発話されてる発音から標準的なものを割り出した実践的かつ便利な発音辞典です。
SIEBSはDuden以前に支配的だった,理想的で規範的な発音を構築した発音辞典です。
上記2冊はドイツ語の発音を考える上で最も重要な参考文献です。
Lexikon der Sprachwissenschaft はドイツ語で言語学,音声学を知るには手軽な事典です。紀伊國屋の『ドイツ言語学事典』はドイツ語関係の言語学・音声学について日本語で書かれた大事典です。この本は学生個人では入手することは容易ではないので図書館で活用して下さい。
ドイツ語方言関係の書籍はほとんどがドイツ語で書かれたものです。(ただしアルザス語はフランス語で書かれたものが多いようです。)できるだけ現行の書籍を掲載してありますが,大学図書館でもなかなか蔵書がないと思います。
成績評価の方法及び基準 レポート(20%)、授業内テスト(50%)、授業の予習(10%)、授業内容到達度チェック課題(毎回授業終了時)(20%)
授業内テスト(第13回)は必ず受験して下さい。
授業の予習,授業終了時の授業内容到達度チェック課題は授業理解に不可欠な学習です。疎かにすると成績に大きく影響いたしますので御注意を。
レポートというのは第14回の学習の成果を示します。
オフィスアワー 火曜日の昼休みに本館講師室控え室を訪ねて下さい。
上記以外にも電子メールにて受け付けます。(miyazawaÄtamagawa.ac.jp Äをアットマークに変換して送信してください。)
備考 音声を扱うので,予習も授業内での演習もヒアリングが中心です。

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